なぜ介護の仕事は腰痛になりやすいの・?
腰が痛くなってきたから、やわらぐ方法はないのかな・・?
腰痛にならない方法を教えてほしい・・・!
今回はこのような質問にお答えします。
結論から言いますと、介護の仕事はご利用者さんを抱えて移乗させたり中腰で作業する時間が多く、腰に負担がかかってしまいます。
腰痛防止には介助の動作の時に腰をいたわる姿勢を作る、長い時間無理な体勢を取らないなど意識する必要があります。
こちらでは、「なぜ介護職は腰痛になりやすいのか」、「腰痛にならない予防対策」、「腰痛になってしまった時の対処法」など分かりやすく解説していきます。
この記事を書いている私のことを簡単にお話します。介護歴は約8年で、特別養護老人ホーム、グループホーム、介護老人保健施設、小規模多機能型居宅介護、有料老人ホームで介護の仕事を経験しました。正職員と派遣社員で働いたことがあります。複数の職場を経験することによって、介護とは何かを理解できるようになりました。介護の現場で経験したことをわかりやすくご紹介していきたいと思っています
介護のことを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>介護とは何だろう?介護の定義・具体的な仕事内容や魅力・職場の種類について解説!
今回の記事を読むことによって、腰痛になりやすい原因とその対処法、腰痛にならない工夫などをわかりやすく丁寧に解説しました。続きをご覧ください。
なぜ介護の仕事は腰痛になりやすいのか
介護の仕事は、よく身体を痛めやすいと言います。なぜ痛めやすいのか見て行きましょう。
腰痛が起こりやすい発生状況
厚生労働省の「業務上疾病発生状況等調査(令和3年)」のデータに、介護を含む保健衛生業で働く人のうち、腰痛で4日以上休んだという報告が2,066件ありました。
介護の仕事内容が、ご利用者さんを車椅子やベッドに移乗したり、体位交換やおむつ交換などで中腰の状態になる時間が増え、身体に負担をかける姿勢が長くなります。
介護の職場は、腰痛を含め身体に悩みや不安を抱えている職員が多いことがわかります。
腰痛が悪化することで仕事ができなくなり、退職する方もいます。
介護職員の介助に対するスキルが不足している
腰痛になる原因の1つに、介護職員自身の身体を傷めてしまう動作をしていることがあげられます。
例えば、無理な体勢で動作をおこなってしまう、力ずくでご利用者さんの介助をしてしまう、無理な姿勢を長く続けてしまうなどがあります。
仕事を始めたころは身体に痛みは感じませんが、介護の仕事を長く続けていくうちに身体に疲れや痛みが蓄積されていきます。
介護の仕事を始めたときから、身体を痛めない体勢を意識する必要があります。
腰痛になりやすい環境にある
腰痛になりやすい原因に、仕事場が腰痛になりやすい環境にあることがあげられます。
「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」などは、ご利用者様の身体介助が多いので、腰痛になりやすい環境にあります。
「グループホーム」や「小規模多機能型居宅介護」などは重度のご利用者を介護する環境が整っていない場合があります。
例えば、介護度が高いご利用者さんを家庭用と同じような風呂に入浴させなければならないときがあります。
ほとんど立位ができないので、湯船に入るときは全身を抱えなければなりません。
抱えている間はずっと中腰なので、身体にかかる負担はかなりのものとなります。
ベッドでおむつ交換をするとき、腰の負担がなくなる高さにベッドを上げ下げするのに時間がかかります。
時間の節約のためベッドの高さを変えずにおむつ交換すると、中腰の姿勢が長くなり腰痛の原因となります。
ご利用者さんを介助するときに、環境によってどうしても無理な体勢になるときがあります。
もし身体に負担がかかる姿勢になっても、できるだけ短くするように意識することを心がけましょう。
介護施設について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>介護の職場ってどんな種類があるの?介護業界の職種をわかりやすく解説!
腰痛になりやすい姿勢と動作がある
介護の仕事には、腰痛になりやすい姿勢と動作があります。
どのような体勢が腰痛になりやすいか見ていきましょう。
腰に負担がかかりやすい姿勢がある
ご利用者さんを介助するとき、中腰の姿勢になることが多いです。
両膝を伸ばした状態でおじぎをする体勢は「中腰姿勢」と呼ばれ、腰痛の危険動作となります。
例えば、ご利用者さんをベッドに寝かせておむつ交換をする姿勢は、特に介護士のご利用者さんに対して遠い側での介助(右側にいるなら左側での介助)は腰が伸びきるので腰痛になりやすいです。
トイレで立位の取りにくいご利用者さんを介助するとき、1人の介護士がご利用者さんを抱えて立たせてもう1人の介護士がズボンの脱着をする2人介助という方法があります。
ご利用者さんを抱えている介護士は、5~15秒くらい抱えたままの体勢をキープします。
ズボンを脱着する介護士は、腰をかがめながら無理な体勢で脱着の介助をします。
お互いに腰痛になりやすい姿勢での仕事になります。
腰に負担がかかりやすい動作がある
ご利用者さんをベッドから車椅子などに移乗する介助は、介護士の腰に負担がかかる動作になります。
ご利用者さんの前に立って、両脇に両手を入れるとき中腰の姿勢になります。
この体勢から抱えて持ち上げる動作が、腰に非常に負担がかかります。
ご利用者さんを方向転換して、ゆっくりと支えて座っていただくとき中腰の姿勢になります。
特にご利用者さんの体格が大きければ、介護士の身体への負担はかなりのものとなります。
身体を痛めないように動作を1つずつ確認して、正しい介助方法を身につけていきましょう。
腰痛にならない予防対策
「まだ腰が痛くないから大丈夫」と思っている方でも、腰痛になってしまうと痛くて仕事をするのが辛くなってしまいます。
「自分も腰痛になるかもしれない」と考えて、腰痛予防を意識するようにしてください。
腰痛にならない介護技術を身につける
ご利用者さんを介助するとき、腰や身体に負担がかかりにくい姿勢や動作を身につけることが重要です。
例えば、移乗介助やおむつ交換など中腰になるときには、膝を少し曲げて腰から背中にかけて真っすぐになる型を作ります。
身体の作り方としては、おむつ交換の体勢で膝を少し曲げて、胸を張って背中と腰が真っすぐになるように力を入れた状態を保つように意識すると腰が強くなります。
介助の動作をするときは、身体に特に腰に力を瞬間的に入れることができると、疲れることもなく身体を痛めずに介護をおこなうことができます。
ご自身が介助をしている型を同僚に見てもらうと、正しい姿勢を確認することができるでしょう。
同じ姿勢を続けないようにする
特に中腰の体勢を続けていると、腰に負担がかかりやすくなります。
例えば入浴介助でご利用者さんの身体を洗っているとき、同じ体勢で続けて洗うのではなく、立ったり移動したり位置を変えることを意識することで姿勢が変わります。
おむつ交換の中腰の体勢は腰によくないので、パットやおむつ、清拭タオル、陰洗ボトルなどしっかりと準備をして、素早く終わらせるようにしましょう。
同じ姿勢を続けないようにするにはどうしたら良いか意識することで、身体の負担が少なくなり仕事効率もアップするでしょう。
ストレッチやウエイトトレーニングをする
仕事を始める前の準備運動や身体を痛めないための筋力トレーニングをおこなうと、腰痛を含め身体の怪我が起こりにくくなります。
男性職員は身体の大きいご利用者さんの介助をすることが多いので、筋力トレーニングとストレッチをおこなうと良いでしょう。
私は「腕立て伏せ」「腹筋」「背筋」「スクワット」を各30~50回をほぼ毎日おこなっています。
ご自身の続けられるペースでおこなうと良いでしょう。
女性職員は重い物を持つよりはスピードとスタミナが要求されることが多いので、型を意識したストレッチを回数を増やしておこなうと良いでしょう。
例えば四つん這いになって、背中と腰に力を入れて伸ばした体勢から、片手と片足を肩の高さまで上げる「バードドッグ」というストレッチを左右各30回くらいおこなうと、背中と腰が鍛えられます。
ご自身に合ったストレッチやウエイトトレーニングを続けることで、怪我をしない身体を作ってください。
自宅で簡単にできる筋力トレーニングを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>腰痛防止に役立つ!自宅で簡単にできる筋力トレーニングをご紹介
ご利用者さんに手伝ってもらう
ご利用者さんに手伝ってもらうとは、ご利用者さんとの関係を良好にして指示を聞いてもらうと言うことです。
介護度が高いご利用者さんの介助は、体位変換のときほぼ介護士がおこない身体にかかる負担は相当なものになります。
しかし良好で指示が入るご利用者さんだと、身体が動かせる範囲で動いたり、力を抜いてくれます。
ご利用者さんに動いてもらうことで、介護士の身体にかかる負担はかなり軽減されます。
私は仕事をしやすく身体を守るために、ご利用者さんと良好な関係を築くように努力しています。
腰痛になってしまったときの対応は
仕事中など、急に腰痛になってしまったときはどうしたら良いのでしょうか。
まずは無理をしないで上司に報告する
ご利用者さんの介助中に腰痛が起こったときは、ご利用者さんの安全を確保してから、ただちに業務を中断して上司に報告して下さい。
痛いのを我慢して無理をすると、慢性化して今後の仕事に支障をきたすかもしれません。
職場にもよりますが、少し安静にして様子を見たり、病院に行くようにと指示が出たりします。
医師や看護師がいる職場では、診察して処置をしてくれることもあります。
腰痛になったときの対処法は、
1.椅子に深く腰を掛けて背中を真っすぐにする。
2.両足を床面にしっかりとつけて、太ももの裏側が椅子に圧迫されないようにする。
3.自由に足が動かせるようにして安静にする。
時々、立ち上がって腰を伸ばしたり歩いたりして、もし痛みがひかないときは病院に行きましょう。
医者に診てもらう
腰痛の場合は、まずは整形外科を受診することになるでしょう。
医師に診察してもらい、適切な処置をして腰痛を完治させて下さい。
腰痛が慢性化すると、仕事だけでなく日常生活にも支障をきたします。
介護職員が腰痛で労災が適用されるのは、介護の仕事が腰痛の原因と証明できる場合です。
しかし、加齢による筋力低下が腰痛の原因になったなど、労災認定にならない場合が多いです。
腰痛になったと思ったら、まずは病院に行って治すことを考えて下さい。
腰痛ベルトなどのグッズを使う
すでに腰痛を持っていたり、腰に少し違和感がある場合に、腰痛ベルトやコルセット、サポーターを使用している介護職員もいます。
腰の痛みが強く日常生活に支障をきたすならば、幅が広いハードタイプの腰痛ベルトを選びましょう。
腰をしっかり固定させるので動きにくさを感じますが、痛みが軽減されて使いやすいです。
痛みがある程度落ち着いたりそれほど強い痛みを感じないのなら、幅がそれほど広くないミドルタイプの腰痛ベルトを選びましょう。
それほど強すぎず中間的な固定力なので、日常生活で動きにくさを感じないでしょう。
痛みはないけれど腰に不安があったり、腰を支えるよりも骨盤を固定させて腰痛予防をしたいのなら、コンパクトなソフトタイプの腰痛ベルトを選びましょう。
ご自身に合ったサイズ、素材を選んで、身体を守りましょう。
腰痛ベルトについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>介護士おすすめの腰痛ベルトの選び方をご紹介!目的別で選ぶ方法とコルセットと骨盤ベルトの違いも解説。
まとめ
介護の仕事は、ご利用者さんへの移乗介助など腰に負担がかかる姿勢、動作が多いです。
私の職場にも、腰痛で悩んでいる職員がいました。
腰痛など身体を痛めて仕事ができなくなり、職場を去る方がたくさんいます。
腰痛にならないために、日頃から腰痛にならない介護技術を身につけたり、業務を開始するまえに準備体操をするなど、身体のケアを心がけましょう。
怪我から身体を守ることで、長く介護の仕事を続けて下さい。
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